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不動産投資 利回りの種類
2018年9月15日日銀の金融緩和による低金利政策の後押しで、不動産投資に対する興味が高まっています。数ある投資の中でも特に不動産投資に人気と注目が集まるのは、不労所得が得られること、資産性が高いこと、また物件によっては高い利回りが得られること等が理由ではないでしょうか。
確かに上手に利用し運用すれば、老後の年金代わりにもなり、今後の人生の手助けになる可能性があります。
しかし、不動産投資は多額のお金が動くため、よく勉強せずに参入すると大きな痛手を負ってしまう危険性も含んでいます。
今回は不動産投資をする上で基本になる利回りにスポットをあてて解説していきます。
【利回りとは】
投資において利回りを計算することは非常に大事です。なぜなら、利回りとは投資分析上の指標として利用され、その投資でどの程度の利益が見込めるのかを表す数値になるからです。不動産投資に限らず、株式や仮想通貨など他の投資についても利回り計算を用い、一般的には利回りが高いほどリターンも高いといわれます。
自分が投資に対し、どの程度のリターンを期待するのか考える上で重要ですから、利回り計算はしっかりと押さえておく必要があります。
基本的に利回り計算は、年間収入から総投資額を割って求めます。年間収入が高く総投資額が低いと高い利回りになり、反対に年間収入が低いのに総投資額が高いと低い利回りになります。
不動産投資における年間収入は家賃や更新料などの賃料収入のことを指し、総投資額とは物件価格のことです。
《利回りの種類》
不動産投資の実務では、主に表面利回りとネット利回りが使用されます。違いは求める利回りの正確さにあります。
購入価格と年間収入のみで簡易的に計算するのが表面利回りで、年間収入から更に諸経費支出を差し引いてより現実的な収入で計算するのがネット利回りです。
つまり具体的な利回りを計算するのであれば、ネット利回りの方が正確性が高いといえます。今回の記事では、この表面利回りとネット利回りについて解説をしていきます。
【表面利回り】
《表面利回りとは》
表面利回りは読んで字のごとく、投資における表面的な利回りのことです。
表面利回りのほかに、荒利回りやグロス利回り、または単純利回りとよばれることもあります。どの呼び名の文字からも分かる通り、最も簡便な利回りです。
指標として用いることはできますが、表面利回りは実際の利回りとは大きく乖離しますので、あくまでも一つの参考程度にとどめておく必要があります。
《表面利回りの求め方》
表面利回りの求め方は非常に単純です。実際にかかる諸経費支出などは考慮する必要がありませんので、物件価格と年間収入の二つから簡単に算出できます。
具体的には下記の方程式で計算します。
表面利回り(%)= 年間賃料総収入÷総投資額×100
具体例を用いて計算してみましょう。
年間賃料収入の合計が360万円のアパートを4,000万円で購入したとします。その場合の表面利回りは次のとおりです。
360万円÷4,000万円×100=9つまり表面利回りは9%になります。
《表面利回りは意味のない利回り?》
表面利回りは投資分析をするうえで一つの指標として用いられます。
しかし不動産投資において実はあまり当てにならない利回りだといわれています。理由は、不動産投資ならではの経費やコストを一切度外視しているからです。賃貸経営をしていく上で様々な経費がかかります。
例えば、物件を維持するための日常清掃や設備の点検・交換費用、また賃借人の入退居の際にかかる原状回復工事費用などあげるとキリがないほどです。
このように支出として支払う項目が非常に多いにも関わらず、表面利回りは実務的に想定される諸経費支出を考慮せずに算出されるのです。そのため実際はあまり意味のない数字といえるのです。
【想定利回りと実質利回りの違い】
不動産投資の最大の特徴は、収入面は入居者から得られる賃料収入に依存するということです。
入居者から毎月支払われる家賃が投資家にとっての収入になるのですが、その賃料収入は安定的なものなのでしょうか。
少子高齢化が進み各地で物件の空室が問題になる中、全ての物件で満室入居が達成されているかというとそうではありません。
特に地方に行けば行くほど満室にするのは難しいといわれています。
不動産投資の分析をする際は、家賃収入額は想定で計算されている金額なのか、または実際の入居状況に基づいて計算されている金額なのかを見極め把握しなくてはいけません。
例えば、全体で6部屋のアパートがあると仮定します。一部屋月額5万円の賃料の場合、満室想定だと月額賃料収入は30万円で年間360万円の収入が見込めます。
しかし、実際は半分の3部屋しか入居していなかったとしたら、月額の賃料収入は半分の15万円、年間収入も180万円になります。
その結果期待利回りも半分になってしまいます。
これは決して大げさな話ではなく入居率60%~70%程度の物件は往々にして存在します。不動産投資を検討する際は、物件の稼働率についてもしっかりと把握する必要があるといえます。
【ネット利回り】
《ネット利回りとは》
ネット利回りは、別名キャップレート(CAPレート)と呼ばれる賃貸不動産の利回りです。基本的な計算方法は表面利回りと似ていますが、賃料収入から諸経費支出を差し引いているのが特徴です。
年間収入から諸経費支出を引いた額は、NOI(ネットオペレーティングインカム)とよばれ、物件の収益性を把握するための基本的な数値になります。
NOIを計算することで、より現実的な収益が把握できるので、投資分析上最も重要な事項の一つといえます。そのため不動産投資をする上ではネット利回りを正しく計算することが求められます。
《ネット利回りの求め方》
ネット利回りの計算は次の方法で求められます。
ネット利回り(%)= (年間賃料総収入-諸経費支出)÷総投資額×100
具体例を用いて計算してみましょう。
年間賃料の合計が360万円のアパートを4,000万円で購入し、諸経費支出が80万円だった場合のネット利回りは次のとおりです。
(360万円-80万円)÷4,000万円×100=7つまりこの場合のネット利回りは7%になります。
物件種別によって発生する経費の種類が異なります。
また物件の築年数によって経費の額も変動し、古い物件は維持管理に費用がかかり募集するための経費も一般的には上がりますので、経費率が上がる仕組みになっています。
《経費の種類》
不動産投資で支出に計上される項目は多いです。
なぜなら賃貸経営をしていくうえで物件の維持管理や入居者募集など様々な経費が発生するからです。賃貸経営上、支出の部に算出される項目は次の通りです。
- ・維持管理費
- ・水道光熱費
- ・修繕費
- ・不動産管理会社への管理料
- ・入居者募集費用(広告料など)
- ・公租公課
- ・損害保険料 など
物件によって想定される経費とその額が異なります。
例えば入居率のいいエリアの物件であれば入退去の入れ替えが少ないため、原状回復時の修繕費が低くなります。
さらに入居者募集の費用も最低限で抑えられるかもしれません。
このように、不動産投資分析をする際は検討している物件に発生する経費とその負担額を想定することも非常に重要であると言えます。
【まとめ】
一口に利回りといっても種類は様々です。それが表面利回りを指しているのか、あるいはネット利回りを指しているのかによって、実際に得られるリターンが全く違います。一見高い利回りが期待できる投資商品でも、内部分析すると実は手取り収入が期待していた金額と比べ著しく不十分だった、という可能性もあります。
期待通りのリターンを得るためには、自分の目で正しい投資分析を行うことが必要で、そのためにまずは不動産投資における正しい利回りの考え方を理解することが重要なのではないでしょうか。