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「水害リスク」が重要事項説明で義務化!それでも安心できないワケとは?

2020年9月26日
「水害リスク」が重要事項説明で義務化!それでも安心できないワケとは?

ここ数年、夏になると毎年のように報道される水災害。

大型の台風はもちろん、昨今は局地的な豪雨による浸水や川の洪水といった被害が非常に多くなりました。

水害に関して国も対策を続けており、2020年8月から不動産契約の重要事項説明において「水害ハザードマップの説明」が義務付けられました。

ただ「これで不動産取引の前に水害を把握できる!」と安心してはいけません。重要事項説明で義務付けられたのは最低限の情報のみであり、最終的には自分の判断が必要になるためです。

では説明が義務化された水害リスクとは、具体的にどのような内容なのでしょうか。

今回は不動産取引における水害リスクを事前に把握する方法を解説しつつ、筆者が強くおすすめしたいツールもご紹介します。

 

 

重要事項説明書に追加された「水害リスク」の内容とは

今回、重要事項説明書において記載と説明が追加されたのは、「水防法に基づいて作成された水害ハザードマップ上における対象物件の所在地」という項目です。

水害の主な内訳は「洪水」、「内水」、「高潮」の3つ。

国土交通省が参考様式として提示している、重要事項説明書の記載箇所をご覧ください。

重要事項説明書

引用:国土交通省 宅地建物取引業法施行規則の改正について

説明が義務化されたのは「取引対象の物件所在地に水害ハザードマップがあるかどうか」、そして「水害ハザードマップに対する物件の所在地」です。

記載される情報としては心許ない印象ですが、今回の法改正に関するガイドラインでは以下の内容についても説明が義務化されています。

●水防法に基づいて作成された水害ハザードマップを提示し、対象物件の位置を示すこと

●市町村の印刷物やホームページの掲載情報を印刷するなどして、入手可能な最新の情報を使うこと

●ハザードマップ上に記載された避難所の位置を示すこと

●取引対象物件が浸水想定区域に該当しなくても、水害リスクがないと誤認させないよう配慮すること

参考:国土交通省 宅地建物取引業法施行規則の改正について

つまり「水害ハザードマップの最新情報を基に、取引対象の物件が水害リスクのある地域であるかどうかを重要事項説明で明示しなさい」というのが、今回行われた法改正です。

対象となるのは、不動産の「売買」、「交換」、「貸借」のすべて。

仮に水害ハザードマップ上で浸水の可能性があるエリアに該当せずとも、「指定区域外でも浸水リスクはあります」としっかり説明しなければいけません。

これまで重要事項として説明が義務ではなかった水害リスク。

不動産の契約後に「しまった!確認してなかった!」と後悔するケースも減ると考えられるため、歓迎すべき法改正と言えるでしょう。

 

説明が義務化されても安心できない理由

ただ、水害ハザードマップにおける説明が義務化されたからといって安心すべきではないでしょう。

説明の有無だけで不動産取引後の水害リスクはゼロにできません。むしろ今回の法改正により、不動産会社だけでなくあなたにも水害リスクに対する責任が生まれたと言えるのです。

水害に関する説明の義務化で安心してはいけない理由は、主に3つあります。

【理由1】必要最低限の情報しか説明されない

今回の法改正にあたって国土交通省から運用ガイドラインが発出されていますが、以下の記載部分について注意が必要です。

“本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。”

引用:国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

記載を簡略化すると、「水害ハザードマップの詳細まで説明する義務は無いが、避難所は示しておいたほうが良い」という内容。

水害ハザードマップについて説明が義務化されたといっても、詳しい内容は自分自身で確認しなければならないのです。

不動産会社は水害ハザードマップの詳細まで説明する義務がないため、「自分自身で水害ハザードマップの内容を把握しておく」という前提を忘れてはいけません。

 

【理由2】地域によっては水害ハザードマップが作成されていない

水害ハザードマップは市区町村が作成しますが、水害ハザードマップを作成していない自治体もあります。

では水害ハザードマップのない地域の重要事項説明書にはどう記載されるかというと、実は今回の法改正において「水害ハザードマップが作成されていません」と記載するのみで足りるとされています。

つまり自分の住む地域に水害ハザードマップがない場合、自分で水害について調べる必要があるのです。

水害の可能性を調べる方法は後述しますが、まずは自分の住むエリアや不動産取引を行うエリアに水害ハザードマップがあるかは確認しておいたほうが良いでしょう。

 

【理由3】水害ハザードマップで想定されていない浸水被害もある

さて水害ハザードマップの説明が義務化されても安心できないもっとも大事な理由は、「水害ハザードマップで想定されていない水害もある」という点。

たとえば2020年8月に埼玉県さいたま市を襲ったゲリラ豪雨。

浦和区本太の住宅街において冠水被害がありましたが、さいたま市が公表している浸水防災マップにおいては浸水の可能性が示されていません。

さいたま市浸水防災マップ

引用:さいたま市浸水防災マップ

マップ上では本太公民館の西側に浸水の可能性が示されていますが、冠水被害があったのは本太公民館の北東側のエリア。

あくまで一例として埼玉県を挙げましたが、同じ災害は全国どのエリアでも起こり得ます。

水害ハザードマップの浸水エリアに該当しないからといって、決して安心してはいけません。

 

水害ハザードマップでは分からない水害リスクを把握する方法

では水害ハザードマップが作成されていなかったり、水害ハザードマップで示されていない被害を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

筆者が強くおすすめしたいのは、「不動産取引を行うエリアの地形を調べる」ということです。

たとえば地形の高低差を調べるのに適しているツールとして、国土交通省が公開している「国土地理院」というホームページがあります。国土地理院のホームページには「地理院地図」という地図があり、通常の地図に地形を重ねられるといった高機能のツールを無料で利用できます。

たとえば「実は谷底」「昔は川だった」として有名な東京の渋谷駅。

通常の地図と地形を重ねて見てみましょう。

渋谷駅

引用:地理院地図

地図を見ただけでも昔は川だったのが分かりますし、明らかに周辺エリアより低い土地であるのが分かります。

前述で例に挙げたさいたま市の浸水も、周辺より標高が低い場所で起こった被害。普段は意識していなくても、調べてみると意外と周辺より低い土地なんてことがあるのです。

地理院地図ではほかにも、活断層や昭和の航空写真などを閲覧できる機能もあります。

基本的に水は高いところから低いところへ流れるため、標高の低い土地は避けたいところ。また川がカーブしている地域では、河川の氾濫による洪水被害という可能性もあります。

地理院地図の機能を使って、自分の住む地域や不動産取引を検討するエリアについて調べてみてはいかがでしょうか。

 

「自衛」こそが不動産の災害リスクを低くする

水害に限らず、巨大な台風や地震といった災害が多くなった昨今、不動産の取引において大事なのは「自衛」です。

特に気にしておきたいのが、やはり「水害」。

ここまで解説した説明が義務化された水害リスクについて、大事な点をまとめておきましょう。

●自分の住む地域や不動産取引の該当地域で水害ハザードマップが作成されているか必ず確認する

●水害ハザードマップについて重要事項説明が義務化されたのは最低限の情報のみ

●該当のエリアに水害ハザードマップがあるなら、必ず目を通しておく

●水害ハザードマップの有無に関わらず、水害の起こりそうな地形か確認する

 

不動産取引において「治安は?」、「地盤は?」、「地形は?」など、ネガティヴな情報を気にし始めたらキリがありません。ただ住まいに関する大事な情報であるため、当然の心理とも言えるでしょう。

現在は不動産情報サイトだけでなく、不動産を知るためのツールが実に多くあります。

まずは不動産取引を行うにあたり、あなたにとって何がもっとも重要であるか整理すること。そのうえで気になったことは自分自身で積極的に調べる姿勢が、失敗のない不動産を選ぶ最善の方法と言えるでしょう。