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お得な駐車場経営はアスファルトと砂利のどっち?
税金の扱いで比較

2019年4月27日

日ごろ街中を歩いていると、「砂利の駐車場」と「アスファルトの駐車場」で分かれているのは、誰しも目にしたことのある光景かと思います。

実は、あの駐車場の砂利とアスファルトは、意図的にそのようにしているケースがあります。

 

なぜなら、「税金を安くするため」です。

 

税金というと何かとややこしい話になると思われるかもしれません。
実際、駐車場経営について述べる記事では「砂利とアスファルトどっちがいい?」ということで、難しい法律がたくさん出てきます。

そこでこの記事では、砂利の駐車場とアスファルトの違いで、駐車場経営の税金がどのように変わるのか分かりやすく解説します。

 

最後に、砂利とアスファルトではどちらが税金面で得かということもご説明しますので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

 

 

駐車場経営で課税される税金

最初に、駐車場経営を始めるとどのような税金がかかるか一覧で見てみましょう。

 

〈駐車場経営でかかる税金〉

  • 消費税:8%(2019年2月時点)
  • 所得税:5~45%
  • 固定資産税:1.4%
  • 都市計画税:0.3%
  • 相続税:10~55%

 

最後の相続税については、駐車場経営時にかかるものではありませんが、売却せずに生涯所有していれば必ず課税されるものです。

また所得税と相続税は、課税対象となる額で税率に違いがありますが、一般のサラリーマンが投資や副業として駐車場経営を行うと仮定して考えると、所得税が20%、相続税が20~40%といったところになるでしょう。

 

 

「土地」と「貸付用地」で税金の区分が違う

駐車場というのは、そもそも「土地(自用地)」か「駐車場(貸付用地)」かという判別が簡単ではありません。

なぜなら、その土地を「何のために所有しているのか」「何に使用しているのか」という解釈が、見る人によって違うためです。
分かりやすい例をご覧ください。

 

土地所有者:「バーベキューや近所の集まりなど、自由に使うために買った土地だ。(自用地)」

税務署:「フェンスも設置されてるし、白線が引かれて番号まで振ってありますから駐車場ですよね。(貸付用地)」

 

この「自用地か貸付用地か」という違いは、税金の扱いをガラリと変える重要なことです。
実際、駐車場という土地の扱いや解釈について、これまでに何度も裁判が行われています。

そこで、あくまで一般論の範囲にはなりますが、前章でご紹介した税金の別で課税区分や土地としての扱いにどのような違いがあるのか見てみましょう。

 

〈消費税法上の駐車場の扱い〉

  • 自用地:土地の貸付には消費税は課税されない
  • 貸付用地:建物や駐車場などのために土地が使用される場合は消費税の課税対象となる

 

【貸付用地と判断される条件等】

  • ・駐車される車の管理を行っている
  • ・地面をアスファルトにしている
  • ・フェンスを設置している
  • ・同じ土地の中で区画が分けられている

 

 

〈所得税法上の駐車場の扱い〉

  • 事業所得:経費計上や青色申告による特別控除等の節税を行いやすい
  • 不動産所得:事業規模でなければ経費計上や青色申告による特別控除が行いづらい

 

【事業所得と判断される条件等】

  • ・駐車される車両の管理を行っている
  • ・ゲートや管理人などを設置している

 

【事業規模と判断される条件等】

  • ・建物の部屋数に換算して10室分以上である
    ※駐車スペース5台分で1室分とされるのが一般的ですが、明文化された規則はありません。

 

 

〈地方税法(固定資産税)上の駐車場の扱い〉

  • 小規模住宅用地:固定資産税を算出する際の土地評価額を1/6にして計算する
  • 一般住宅用地:固定資産税を算出する際の土地評価額を1/3にして計算する
  • 上記以外:特例措置なし

 

【小規模住宅用地・一般住宅用地と判断される条件等】

  • ・住宅やアパート等のための敷地、その敷地と一体となる駐車場や庭

 

 

〈相続税法上の駐車場の扱い〉

  • 貸付事業用宅地:相続税を算出する際の土地評価額を50%に減額して計算する
  • 自用地:特例措置なし

 

【貸付事業用宅地と判断される条件等】

  • ・対価を得て継続的に事業として行っている、賃貸物件、駐車場、自転車置場、その他の不動産の貸付け
  • ・アスファルトを敷く、砂利を敷く等の構造物にあたるものが設置されている
    ※明文化された規則はなく、判例等による解釈が基になっているものです。

 

所得税や相続税については、法律等での明確な切り分けがされていないため、これまでの裁判の結果や税務署の見解などを加味した総合的な判断がなされます。
よって、アスファルトを敷いたかどうかだけで必ずしも減税措置が適用できるものではありませんので、少々注意が必要になります。

 

〈ケース別〉こんなとき駐車場の税金はどうなる?

その土地をどう使うかは所有者の自由ですが、事業用の土地と主張する場合は、事業であるという証拠を示さなければいけません。
ただ、その切り分けが法律で明確に定められていない上に、判例による判断や税務署により見解が違うとなると、なんとも釈然としない気持ちの方は多いかと思います。

そこで駐車場の税区分について参考になるものとして、消費税と相続税の扱いで過去に争われた事例をご紹介させていただきます。

 

〈砂利のままだがロープで区画を割ったことで消費税を課税されたケース〉
平成22年の国税不服申立審判にて、駐車場を営んでいた人が「アスファルト舗装をしていないため貸し付け用地ではない」として、消費税の課税を取り消すように求めていました。
ただ結果は、アスファルト舗装はしていないものの、ロープや白線で区画を割り、区画番号の表示や車止めの設置を行っていることから、単なる土地の貸し付けではなく「(事業用の)貸付用地」として使用していたと判断され、且つ売り上げも1000万円を超えていることから、消費税の課税事業者であると判断された。

参考:国税不服審判所 平22.3.2裁決事例集No.79
http://www.kfs.go.jp/service/JP/79/36/index.html

 

〈状況の違う駐車場2つに相続税の小規模宅地の特例が適用されなかったケース〉
砂利の駐車場Aと長女に貸しているアスファルトの月ぎめ駐車場Bに関し、小規模宅地の特例を適用すべきと請求された事案。
ただ、駐車場Aは10年も前から砂利であり、さらに相続時のその砂利の状態も構造物とは言えないものであったと推認されることから、小規模宅地の特例は認められないと判断された。
また、月ぎめ駐車場Bは長女に貸しているとは言うが、近辺の駐車場と比べて明らかに賃料が安い上に、賃貸借契約書がない、期間の定めもないという事実から、「対価を得て貸している事業」とは言えないため、小規模宅地の特例は適用されないと判断された。

参考:国税不服審判所 平成7.1.25裁決事例集No.49
http://www.kfs.go.jp/service/JP/49/25/index.html

 

このように、そのケースごとで判断が分かれるため、所有する駐車場を安易にアスファルトか砂利かで判断してしまうと、予想だにしない重税が課せられることもあり得ます。
「どの税金を主に安くしたいか」ということをしっかり考え、個別ケースによって判断する必要があります。

 

駐車場経営中は「砂利」、相続対策なら「アスファルト」が良い

では最後に、結局のところ駐車場経営をした場合に砂利とアスファルトのどちらが税金でお得になるのか整理したいと思います。

ただ前述までの解説でお気づきかもしれませんが、基本的には「大きな差はない」というのが結論となります。
税金の別でその理由を解説します。

 

  • 〈消費税〉
    消費税は、課税事業者が1000万円以上の利益を出していなければ課税されることはありません。
    駐車場経営で1000万円以上の利益を出すとなると、車100台前後の規模で駐車場経営する必要がありますので、サラリーマンなどの個人投資家であれば、わざわざ費用を捻出してアスファルトにする必要はないと言えるでしょう。

 

  • 〈所得税〉
    所得税については「砂利かアスファルトか」ではなく、「事業規模かどうか」が節税で重要であると解説させていただきました。
    つまり、個人投資家の駐車場経営という規模であれば、砂利でもアスファルトでも納税額に影響を及ぼしません。
    仮に事業規模で経営して節税するにしても、車50台分の規模というのが目安となるため、あまり現実的なものではありません。

 

  • 〈固定資産税〉
    固定資産税は、その駐車場が所有するアパートなどと隣接しているかどうかで税金が変わります。
    よって、砂利かアスファルトかという問題は関係がありません。
    なお、アパート居住者用の駐車場と見なされれば小規模住宅用地となって節税できますが、必要がなければアスファルトにしなくても良いと言えます。

 

  • 〈相続税〉
    相続税こそ駐車場を砂利とアスファルトのどちらにするかをしっかり考えないといけません。
    「駐車場経営」として認められれば、小規模宅地の特例によって納税額をかなり抑えることができます。
    小規模宅地の特例を適用させるためには、アスファルトを敷く、白線などで区画を分ける、賃貸契約書をもって運営するなどして、どうみても駐車場経営と分かる状態にする必要があります。
    親族や知人などのための駐車場として口約束で土地を貸していても、いつでも自用地として使えるような状態では「貸付事業を行っていた」とは見なされず、相続税が高くなる可能性が高いことは忘れないようにしましょう。

 

また、相続税についてもう一つ補足させていただきます。
地面が砂利でも構造物のある駐車場と見なされる場合もありますが、3章でご紹介した事例のように、元から砂利であったものを構造物とは言いませんので、小規模宅地の特例を確実に適用するためには、やはりアスファルトを新たに敷くことは健闘しましょう。

ここまで、税金という面での駐車場の扱いを解説させていただきましたが、実際のところ駐車場とは言っても「いつでも活用できる自分の土地」という事実に変わりありません。

特に砂利のままだと、自分の好きなタイミングで好きなように使える土地と解釈され、駐車場ではなく自用地として見られがちです。

駐車場経営にしては規模が大きいとか、「ホコリが舞う!」なんて近所からクレームでもない限り、基本的に砂利のままのほうが費用面ではお得です。

ただ、家族に相続させるつもりの土地なのであれば、自分に万一のことがあった時のために、早めにアスファルト等の構造物があるれっきとした駐車場という事実を作り、貸付事業としてしっかり成り立たせることが重要であることをこの機会に覚えておきましょう。