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事業用・収益用物件の購入トラブル事例
~不動産業者の役割と選別が重要!?~

2017年12月22日

魅力のある物件を見つけたAさん

Aさんは、不動産業者の紹介により、事業用建物の内覧に行きました。

現況は、まだ従業員が働いている状況だった為、売却の話が漏れるのは困るという理由から、3階と屋上を含む共用部分だけの内覧が認められました。

1階と2階については内覧が許されませんでしたので、給水施設(ポンプ室)は確認することができないままでした。

 

この際、売主の会社の専務が立会い、給水施設等に異常はないとの説明がありました。

しかし、実際には2台のポンプのうち1台が故障によって作動していませんでした。

Aさんも不動産業者も、この事を知らずに内覧を終えてしまいます。

 

 

 

購入を決めたAさんを待っていたトラブルとは?

同行していた不動産業者は、専務から聞いた事実をまとめ、ポンプの所在、配管状況、個別メーターの有無等を重要事項説明書に記載し、Aさんに説明を行いました。

この不動産会社の媒介により、Aさんは物件の購入を決めます。

売主は、本件建物の瑕疵担保責任を負わないという特約付きでの売買契約締結でした。

 

引渡し後、Aさんは、水道は問題なく出るものの、ポンプのうち1台が故障していることに気付きます。契約書と重要事項説明書を見る限り、ポンプに異常はないはずです。

完全な状態にするには修理費が必要になる為、この責任は媒介した不動産業者の責任だと考えました。

本物件を使用する上で必要不可欠な施設であり、ポンプの故障は不動産業者による調査不足だとして修繕費用の支払いを求めたのです。

 

 

 

両者の言い分、間違っているのはどっち?

この裁判は、売主の責任についてではなく、媒介した不動産業者に費用を支払う責任があるのかが争点でした。

Aさんとしては、不動産業者が適切な調査でポンプの故障を見つけ、重要事項説明できなかったのは説明義務違反だと主張しました。

 

これに対し、不動産業者も反論します。

確かに、説明義務はあるものの、「給水施設があるか、無いか」といった設備の有無について記載するもので、通常の注意で判明する範囲が限界なのだと言います。

そして、内覧当時に誰もポンプが重要事項であるという認識はしておらず、水道は問題なく使用できる状態でもあったわけだから、重要事項とは言えないと主張しました。

 

 

裁判所は、Aさんの請求を棄却!?

(東京簡裁・判決平成16.12.15)

 

裁判結果はAさんの請求を棄却するというものでした。

驚く結果に感じた方も多いのではないでしょうか。

裁判所の判断理由は、以下のようなものでした。

 

不動産業者には、物件の瑕疵の有無を調査して買主に報告すべき義務があり、飲用水供給のためのポンプの作動状況は極めて重要な事柄である。

従って、不動産業者は、本件ポンプの作動状況について、通常の注意を尽くせば認識できる範囲で調査報告義務を負う

しかしながら、ポンプの確認ができなかったのは、売主が室内の調査を拒んだからであり、確認できる範囲の給水状況と、売主からのヒアリング結果を報告している。

このような状況下では、通常行える調査は行ったといえる為、不動産業者に債務不履行は無い。

 

「通常の注意を尽くせば認識できる範囲」という部分の解釈が難しいところです。

内覧時、Aさんも一緒に状況の説明を受けていることもあり、ポンプの故障は売主の瑕疵担保責任の範囲であるというのが本件の結論と言えます。

 

 

まとめと学び

この話は、客観的に見れば、媒介業者としての業務が不十分であったと言わざるを得ません。

何故なら、詳細な調査ができなかった理由を記載し、売主から物件状況に関する告知書等を提示させていれば、紛争を未然に防げた可能性があるからです。

また、引渡し時に現場確認業務を入念に行っていれば、別の解決方法もあったはずです。

不動産業者の認識の違いによって、買主が損害を受ける事があるわけですから、業者の選別はしっかりと行うべきですね。