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サブリースのメリットを最大限に発揮!
契約前の5つのチェック項目

2019年4月5日

 

何かとイメージの悪くなった「サブリース」ですが、実はその仕組みや注意すべきポイントを知れば、不動産オーナーにとって強い味方になります。

 

サブリースに関連するトラブルの多くは「契約書の記載内容」と「法律上の定め」が主な要因です。

逆に捉えると、予め確認すべきポイントを理解していれば、トラブルを事前に回避できる可能性が高いと言えます。

 

ただ「法律」なんて聞くと、ちょっと難しい説明になるんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで今回は、これまでに散々悪者扱いされてきたサブリースのメリットを見直しつつ、トラブルがなぜ起きるのか、トラブルをどうすれば回避できるのかを解説します。

所有物件の運営をサブリースと個人経営のどちらにすべきか判断するための考え方も解説しますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

 

 

 

1)本当はメリットが多いサブリース

 

これまで「サブリース」という言葉はニュースや新聞、ブログなどでたくさん報道されてきましたので、何となく難しいもののように思えます。

ただ実は、その仕組みは非常に簡単です。

 

  • (1)サブリース会社がアパート全部屋を一括で借り上げてくれる(アパートオーナーと「賃貸借契約」を締結)
  • (2)サブリース会社は借り上げた部屋の入居募集を行う(入居者と「転貸借契約」を締結)
  • (3)サブリース会社は入居者が支払った家賃から手数料や管理費を差し引いてアパートオーナーに渡す

つまり、入居者から得られる家賃の一部がサブリース会社の儲けとなり、手数料等を差し引いて残った額がアパートオーナーの儲けということになります。

 

そんなサブリースですが、ニュース等で聞くような悪い仕組みのものではありません。

本来サブリースは、サブリース会社にも物件オーナーにもメリットがある、不動産業界における暦としたビジネスモデルなのです。

どんなメリットがあるのかまとめましたので、以下をご覧ください。

 

  • ・空室リスクをゼロにできる
  • ・家賃滞納のリスクを回避できる
  • ・物件管理の手間を省ける
  • ・入居者トラブルもサブリース会社が行ってくれる
  • ・銀行の融資審査でプラスになることもある

 

5つ目の融資審査でプラスになるというのは、「サブリースにより家賃が保証される」という点が、アパートローンの審査で好材料になることがあるということです。

 

上記のメリットを見る限り、サブリースは賃貸オーナーもサブリース会社も儲かる素晴らしい仕組みに思えますが、なぜここまで悪いイメージが定着しているのでしょうか。

この点を次の章で詳しく解説します。

 

 

2)よくあるトラブル事例から知るサブリース問題の種

まず、サブリースが何かと問題視される理由をご説明する前に以下のトラブル事例をご覧ください。

 

【サブリースのよくあるトラブル事例】

  • ・10年保証と聞いていたのに数年の間に何度も保証家賃を下げられた
  • ・家賃減額の交渉を断ったら解約の話を持ち出された
  • ・サブリース会社が信用できないので解約を申し出たら、高額な違約金を請求された
  • ・家賃保証のはずが、空室になるたびに数か月家賃が入ってこない期間がある
  • ・入居者の入れ替えの際のクリーニング費や修繕費が高くて儲けが減ってしまった

 

上記全ては、サブリース関連のトラブルで非常によくあるケースです。

どれか一つでも自分に降りかかったら困るトラブルばかりですが、残念ながら、場合によっては上記全てのトラブルの種を抱えた会社もあります。

 

では、上記のようなトラブルを回避するための方法はないのでしょうか。

実は、「契約書をよく読むこと」と「法律の一部だけでも知る」という二つができれば、サブリースでよくあるトラブルを回避できる可能性があります。

 

その方法を次の章でご説明させていただきますので、上記のトラブル事例のポイントをまとめておきましょう。

 

  • 1.家賃が下げられた
  • 2.一方的に解約すると言われた
  • 3.こちらからの解約申し出に対して高額な違約金を請求された
  • 4.家賃が入ってこない期間がある
  • 5.クリーニング費や修繕費が高い

 

 

3)契約前に確認!サブリースで確認すべき5つのチェック項目

 

では早速、サブリーストラブルが起こる仕組みと回避方法を解説します。

1章でサブリースの仕組みを解説した際に、サブリース会社が一括でアパートを借り上げる、つまり「サブリース会社とアパートオーナーが賃貸借契約をする」と説明しました。

まず、この「賃貸借契約」が大事な部分です。

前章でご紹介した「サブリースのよくあるトラブル事例」の「1.」~「3.」をおさらいします。

 

サブリースのよくあるトラブル事例【おさらい1】

  • 1.家賃が下げられた
  • 2.一方的に解約すると言われた
  • 3.こちらからの解約申し出に対して高額な違約金を請求された

 

サブリースに限らず、普通の賃貸契約でも以下の注意事項をご存知の方も多いでしょう。

 

  • ・家賃の値下げ交渉は借地借家法で認められた入居者の権利である(借地借家法32条)
  • ・オーナーは正当な理由がないと解約できないが、借主は、ある程度自由に解約できる(同法27、28条)

 

この2点は法律で定められた変えることのできない事実です。

よって、上記のサブリースのよくあるトラブル事例は、法律で認められたサブリース会社側の権利だからこそ起こるトラブルなのです。

 

そして、残っているサブリースのよくあるトラブル事例もおさらいしましょう。

 

サブリースのよくあるトラブル事例【おさらい2】

  • 4.家賃が入ってこない期間がある
  • 5.クリーニング費や修繕費が高い

 

上記2つのトラブルは、契約書上の「免責期間」「修繕費」「管理費」の定めによって起こるトラブルです。

契約書は会社により形式や言葉が違うこともありますが、それぞれの意味や内容は以下のとおりです。

 

免責期間・・・サブリース契約中でも空室時の家賃を保証しない期間を指し、特約事項として書かれていることが多い

修繕費、管理費・・・アパートの修繕費や管理費をどちらが支払う義務を負うかが書かれている

 

つまり、契約書に「免責期間」があることを把握していなかったため、「家賃が入ってこない!」というトラブルが起きるのです。

また、「クリーニング費や修繕費が高い」というのも、契約書に「オーナーが修繕費や管理費を負担する」と書かれており、サブリース会社お抱えのリフォーム会社が修繕するため、通常より修繕費が高いというのが多くのパターンです。

 

サブリースでよくあるトラブルがなぜ起きるのかご理解いただけましたでしょうか。

以上のことから、サブリース契約のトラブルを回避する方法をチェック項目としてまとめてみましょう。

 

(1)家賃の値下げによるトラブルの回避

・予想外の家賃の値下げに慌てないよう、契約書に書かれた家賃の見直しや改定の時期を確認する。

・可能なら、家賃の見直し時期を長くできないか交渉する。

・本当にサブリースで良いのか、賃料相場の変化を見越した収支シミュレーションを行ってから判断する。

 

(2)先方都合の解約によるトラブルの回避

・急な解約で困らないよう、契約書に書かれた解約予告について何か月前を義務としているか確認する。

・解約予告の期間が短すぎる場合は交渉する。少なくとも半年以上が目安。

 

(3)こちらからの解約申出で高額な違約金を請求されるトラブルの回避

・こちらからの申出解約で違約金が発生するとの記載がないか確認する。特約事項に記載されていることが多い。

・違約金が高額すぎたり納得できなければ交渉で金額を下げてもらうか、そもそも契約をしない

 

(4)家賃が保証されない期間に関するトラブルの回

・免責期間についても特約に記載されていることが多いため、必ず確認する。

・免責期間が長すぎる場合は交渉する。

 

(5)高額なクリーニング費や修繕費に関するトラブルの回避

・修繕費や管理費をどちらが負担するのか、また負担する範囲を契約書で確認する。

・修繕費等の負担がオーナーなら、リフォーム会社等の選定はオーナーで行うという特約を付けてもらう。

・修繕やクリーニング等をサブリース会社と提携している会社が行うなら、オーナーが負担する費用の目安を必ず確認する。

・サブリース会社が修繕を行うなら、どの範囲で修繕を行うのか確認する。

 

 

4)そもそもサブリースと個人経営はどちらが良いの?

さて、最初にお伝えしたとおり、本来サブリースというのはメリットの多いはずのものです。

しかし、サブリース会社も利益を出さなければいけませんし、前述のとおり、法律上でどうしても変えられない決まりごともありました。

 

そう考えると「結局、サブリースと個人経営はどちらが良いの?」という疑問が湧いてきます。

 

結論から申しますと「物件によりサブリースと個人経営のどちらが良いかが変わる」ということを理解することが大事です。

 

賃貸経営や不動産投資をするなら、「利益を最大化する」ということがオーナーの使命でもあります。

それを前提にして以下2つの物件を比べたとき、より多く利益が得られそうなのはどちらか考えてみましょう。

 

  • 1.都会のど真ん中にある、空室知らずで家賃も高いマンションをサブリースで運営する
  • 2.郊外エリアで人口も少ない町にあるアパートを個人経営で運営する

 

まず「1.」については、わざわざサブリースでなくとも、空室リスクが低い上に手数料も引かれませんので、個人経営のほうが利益を多く得られるはずです。

逆に「2.」は空室リスクが高いため、サブリースで借り上げてもらうほうが安心です。

 

つまり上記2つは、利益を最大化するのとは逆のことをしてしまっているということです。

 

3章でお伝えしたチェック項目を忘れずに確認し、サブリースのほうが利益を確実に得られると判断できるのであれば、サブリースというのは決して悪いものではありません。

イメージ先行でサブリースを避けてしまうのではなく、「どっちが得か」という視点を持つことが何より大事なことなのです。